桃川農園 「少量多品目栽培でどれか一つが主人公にならなくてもネットワークが広がっていく」
新潟県の北部、村上市桃川を中心にお米と野菜を栽培している桃川農園。
農園の成り立ちや地域貢献、栽培方針について代表の佐藤さんにお話を伺いました。
サラリーマンの経験を生かした、計画的な農園運営
(安達)
もともとサラリーマンだったとお伺いしましたが、どんなお仕事をなさっていたのでしょうか?
前職は土木と建築をやっていました。だからここも、ハウスを持ってきてもらって内装をやったり、ハウス周りのタイルも自分で敷いたりしました。あとはコンクリートの板をもらってきて自分で敷いて枕木を据えて、水平出しをして事務所を造りました。
(安達)
お器用ですね!全部を業者さんに頼むと結構な金額になるし、なかなか大変ですよね。
大変ですね。おっしゃったように、ハウス1棟って結構いいお値段じゃないですか。だから経験を生かして、みんな手作りしました。やれることは自分でやっています。
最初はアスパラの栽培から始めました。ブロッコリーも同時に作り始めたときで、「じゃあアスパラとブロッコリーと米を栽培しようか」ということで。それから枝豆植えたり、トウモロコシを始めたり。サツマイモがだんだんメインになりつつありますね。
(安達)
なるほど。最初はアスパラを始めた理由などあったら教えてください。
やっぱりやっている方が少ないし、安定して売れるっていうのと自分もアスパラ好きだったし。一丁前に出るまで3年かかるんですよね、アスパラは。最初の3年間は、もう収入ゼロみたいな。結構大変でしたけどね。
(安達)
栽培したばかりのアスパラは細いものしか出てこないので、なかなか出荷できないですよね。
そうなんです。だから4年目ぐらいからやっと製品になるみたいな感じですね。でもそれが安定してくると、毎年苗も植えなくてもいいし。
(安達)
勝手に出てきますよね。新潟市内とか三条近辺でもアスパラをやっている農家さん居ますが、アスパラは需要が高い食材の一つですよね。
東京でうちのアスパラが欲しいという方もいて。飲食店の調子いいときはほぼほぼ東京で売り切れます。
イチジクの可能性と地域貢献
いろいろとネット販売していますが、果物が人気なのでイチジクをちょっと増やしていこうかなと思っているんです。あんまりやっている人もいないので。
(安達)
なるほど。
イチジクはさし木をするとどんどん増えるので、経費かけずに増やしていけますしね。あんまり手間もかからないんですよ。
(安達)
お水の管理ぐらいですか?
はい。水を管理して、たまに追肥して、あと防除ですね、虫関係。アザミも入ると商品にならないので。でも逆に言うとそれくらいで出てしまうので。
ただ、皮が薄くて柔らかいから流通系とは言い切れないんですよね。もぐタイミングが非常に難しい。熟しすぎちゃうと送るとき傷んじゃうので。
(安達)
そうなんですね。
だから若干青めでもがせてもらって、輸送して何日か経ってお客さまが開けた時にちょうどいい、食べごろみたいな感じで。そうしないとちょっと大変かなと思っているんですけど。
イチジクは結構使い勝手があるんですよね。
(安達)
そうですよね、お料理にも使えるし。
地元に天ぷら屋さんがありますが、デザートもさることながらイチジクも天ぷらにしていますよ。
(安達)
イチジクの天ぷらですか!珍しいですね。
なかなか好評みたいです。あとイチジクはスライスすると緑とピンクのカラーリングが綺麗なので、ケーキとかパンとかいろいろ汎用できますし。
(安達)
ドライイチジクもかなり需要ありますしね。
実はパンやスイーツに加工して販売する計画を立てているんですけど、そういうものを売り出す時に農家らしさを前面に出していこうかなと思って。
(安達)
この辺りでパンやスイーツのお店を作る感じですか?
はい、加工と販売もできるような。
普通こんな所になかなか人は来ないだろうなと思うんですけれど、でもいろいろ調べていくと品物が良ければ結構来てくれるということが分かったんですよ。だから新しい地域のスポットになるかもしれないと思いまして。
(安達)
村上市は観光客も来るので、今まで観光地を目的で訪れた方がこちらの地域に足を延ばしてくれるきっかけになりそうですね。
それに万が一、人が来なくて売り切れない分は別のところに卸すこともできるので、ある程度一日に大量生産してね。そうしたらこの地域にもいろいろ可能性があるのかなと思って。
だから世の中一般の皆様がやっているようなことを真似してもダメなので、ちょっと知恵を絞って独自性を出しながらお店をやってみようかなと思いました。
「少量多品目栽培」で広がる輪
(安達)
桃川農園さんは少量多品目栽培を上手に管理していらっしゃいますね。
少量少量を管理する方が大変ですけどね。でもサラリーマンをやっていたので「1か月ちゃんと利益を得るにはどうしたらいいのかな?」ということで、少量多品目を選びました。
5月はブロッコリー、6月は枝豆、冬は雪降るのでサツマイモ、と時期ごとに売上のお金が入ってきて。それでサラリーマンと同じパターンで生活できるかな、ということで。あとはリスク分散もありますよね。
(安達)
なるほど。
それにいろいろやっていると、一度買ってくれた人が同一出品者の商品をまた見てくれるでしょ。そうすると「ここは野菜がある、米がある、栗もある、じゃあ他のものも頼んでみようかな」となるわけだから。
だからどれか一つが主人公にならなくても、何かで切り込んでいって名刺を出すことによって、お客さまのネットワークが広がっていくんですよね。
(安達)
なにかこうちょっと目立つ、やっぱり尖りのあるものというか。
そうそうやっぱり尖っていかないと。人間そのものもそうですしね。どこにでもいる人じゃつまらないからやっぱり「この人はなかなか変わっているな」とか、「こだわっているな」というところを出していかないと、と思っています。
桃川農園
【生産者情報】
〒959-3421 新潟県村上市桃川474
Tel :0254-75-5529
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