Restaurant ISO 磯部冬人シェフ「お客様に喜ばれる料理とは、愛情やこだわりを持った生産者さんが作る素晴らしい食材があって初めて完成するものだと思う」
新潟市中央区に店を構えるRestaurant ISO(レストラン イソ)。 東京・フランス・長野・新潟と様々な場所でフランス料理と向き合い、地元ならではのフランス料理を提供したいという想いから2016年新潟市にレストランをオープン。地元の食材や生産者との繋がりを大切にする、予約の絶えない人気店の磯部冬人シェフにお話を伺いました。
人に喜んでもらえて、自分自身もクリエイティブな表現ができる仕事をしたかった
(安達)
先日磯部シェフのお料理を体感して、その繊細な美しさに魅了されたのですが、まずはじめに磯部シェフが料理人を志したきっかけを教えていただけますか?
シェフ
人に喜んでいただけて自分自身もクリエイティブな表現ができる仕事を、と考えた時に料理人がいいのではないかなっていうことで志しました。
(安達)
そうなんですね!
小さな頃からお料理が好きだったということでしょうか?
シェフ
料理が好きというより物を作るのが好きだったので、最初は絵かきやそういった芸術的な仕事に就けたらなと思ったんです。
でも実際その仕事に就くのは難しいと思ってきて、そんな時に人に喜んでいただけて、なおかつそういうものを作れる職業は何かと考えた時に料理人だな、と思いました。
(安達)
なるほど!そういうことだったのですね!磯部さんの生み出す繊細で芸術作品のような一皿一皿を思い出し、とても腑に落ちました。
新潟県らしい、その土地ならではのフランス料理
(安達)
お料理に携わって今年で何年になりますでしょうか。
シェフ
19の時から始めて今46ですので27年ぐらいですかね。
(安達)
19歳からお料理に携わってこられたのですね。
その中で人生の転機となる様な出来事はありましたでしょうか。
シェフ
新潟から東京の方に移り修行を続けていたのですが、東京で料理長をさせていただいた後に自然のあるところでお料理を作りたいと思い、長野県の白馬村のリゾートホテルの方に環境を移しました。
その時に都会のフランス料理とは違う、その土地ならではのフランス料理というものがあるんだなと発見がありました。
その流れで新潟県でも新潟県らしいフランス料理ができるんではないかな、と思い今に至っております。
文化や人、フランス料理をミックスすることによって新しい表現の料理をしていきたい
(安達)
「新潟県でも新潟県らしいフランス料理ができるんではないか」と考えられたとのことでしたが、ISOさんのコンセプトを教えていただけますか?
シェフ
新潟県の素晴らしい食材や文化的なものであったり、人とフランス料理をミックスすることによって新しい表現の料理ができるんではないかというのを思っています。
そういったものを提供できるレストランでありたいと思っております。
食器やカトラリーを通じて新潟らしい風土を感じられる料理を表現
(安達)
ISOさんでは新潟県産の食器やカトラリーを使用しているかと思いますが、その中で「これからこんなものもあったらいいな、こんな表現をしてみたいな」という希望はありますでしょうか。
シェフ
新潟市でレストランをやっているということと、自分の出身も新潟なんです。
故郷でフランス料理を作るという中で、地元の作家さんやそのメーカーさんのお皿、器や調理器具を使用することによって、新潟らしい風土を感じられるフランス料理を表現し提供できれば良いなという風に考えております。
(安達)
新潟県内だけでも、組子細工や洋食器など個性豊かな作品・製品がたくさんありまし、斬新なものからスタイリッシュで機能的なものまでどんどん新たな製品が生まれていますから、芸術的な表現の幅も、これからもますます広がっていきそうですね。
生産者さんの想いがこもった食材と出会っていきたい
(安達)
いつもどのような気持ちでお料理に向き合っていらっしゃるのか、磯部さんの心の内に秘めている想いや信念をぜひ教えていただきたいです。
シェフ
調理に関しては「季節感を大切に食材そのものの味わいを壊さないように、より美味しくなるように」ということを意識しています。
(安達)
なるほど!先日ISOさんにて食事を楽しませていただきましたが、いかに食材そのものの味わいを大切にしていらっしゃるか、素材の扱いからとても伝わってきました。
磯部シェフは、食材の選び方やこだわり、これからどんな食材に出会いたいかといった希望はありますでしょうか?
シェフ
食材に関してはやはり良質で安全で新鮮な物っていうところで食材の方向を選択しているんですが、今後は生産者さんのその想いがこもった食材と出会っていきたいなとは思っています。
(安達)
フレマルで出品されている生産者さんはご自身で育てた食材への熱い想いを持ち合わせている方ばかりですので、次々と新たな出会いがありそうですね。
生産者さんとのやり取りを積み重ねていくことでしか結果を出せない
(安達)
これまで生産者さんと直接取引したことがあると伺っておりますが、その際の出来事を教えていただけますか?
シェフ
直接生産者さんとやり取りさせて頂いた時もあるんですが、なかなか上手くコミュニケーションが取れなかったことと、品質的にも数量的にも安定供給できない時に上手くやり取り出来なかったところがあり、自然と取引の方が無くなっていくというケースがありました。
(安達)
そうでしたか…ITで便利な世の中になったとは言え、コミュニケーションを続けるというのは、なかなか難しいことですよね。
ちなみにどんな視点・ポイント・目線で食材を選んでいらっしゃるのでしょうか。
シェフ
食材全般において美味しいことは一番なんですが、やはりその料理のクオリティというのは本当に食材に関わる部分が大きいです。
そういった中で「安全で、良質で、鮮度が良くて」というところになってくるのですが、そこには生産者さんのその想いであったり愛情であったり、レストランに対してのその想いであったりというところが必要になってくるのかなと思います。
お取引させていただいている業者さんとは、密にコミュニケーションを取って「こういったものをメニューに載せたいんですけど、何か良いアイデアや提案ありますでしょうか?」という様なことも、やり取りの中で頻繁にするようにしています。
(安達)
なるほど!磯部シェフの、食材や生産者に向き合う真摯なお人柄や愛情がうかがえますね!
シェフ
一つのレストランで数えきれないぐらいの食材を使用することになってきますので、本当にその一つ一つに思い入れがあります。
しかしそれはすごく地道な作業で、一つ一つ向き合って、一つ一つの生産者さんとやり取りをするっていうことを積み重ねていくことでしか結果が出ない作業です。
食材一つ一つが具体的にやっぱり違いますし、そういった積み重ねが結果として「お客様に自信を持って提供できるもの」になるのかなと思っています。
そして、それは信頼できる生産者さんとのつながりから生まれるのかな、というところですね。
(安達)
磯部シェフが「業者さんとコミュニケーションしながらというのが大切」とおっしゃっていましたが、お料理に限らずだとは思いますが、時に難しいこともあるかと思います。
普段コミュニケーションで気を付けていることはありますか。
シェフ
料理人として欲しい物を考えるとキリが無いですが、現実的にお野菜でしたら取れない時期があったり、天候によって品質が左右されたりしますので、色々な状況がある中で出来るだけお互いにとって無理がない形でやり取りをしたいとは思っています。
(安達)
食材のひとつひとつの緻密な確認が積み重なって、まるでオーケストラのようだなと想像してお話を聞いておりました。
普段から調味料一つとっても大切に思っていらっしゃるということですね。
シェフ
スパイス、ハーブやその他色々な食材も全てが同等であると思いますので、どれが欠けても料理として成立しないと思います。
全てが良い状態でお皿に乗ることによって、そこで初めて良い料理として完成すると思いますので、そういったことをいつも考えて料理を作っています。
フレマルを使うことで一つでも良い出会い、良い料理が作れるのではないかという期待と可能性
(安達)
食材を探しに生産者さんのところへ行かれることはありますか?
シェフ
主に県内ですが定休日に生産者さんのところへ行ってお話を伺ったり、実際その食材を食べさせていただいたりということはあります。
(安達)
生産者さんは自分の育てた食材がレストランでどの様に使われているのか、レストランではどの様な要望があるのかというのが分かりにくいところがあります。
レストランというのは生産者と飲食店とお客様、1つでも欠けてはいけないと思っています。
フレマルを通じて円滑にやり取り出来ればと思っていますが、そのあたりはいかがでしょうか。
シェフ
本当におっしゃる通りで料理人だけでも成り立たないですし、”料理人”と”生産者さんの作る食材”と”召し上がって頂くお客様”、その三つがその揃うことによってレストランでの食事っていうのは完成すると思います。
良い生産者さんがどこでどのようなものを食材を作られてるかっていうのは、自分で探してもなかなか見つけきれない部分があります。そういうところをフレマルというサービスを使うことによって、より一つでも良い出会いがあったらより料理が作れるんではないかな、と思っています。
(安達)
まさにフレマルが目指しているところです!
シェフ
料理人と生産者さんは「貢献したい」という部分では同じですよね。
生産者さんと直接やり取りするとな色んな条件で噛み合わなかったりするところも、フレマルというサービスを使うことによって、円滑にコミュニケーションが取れるのであれば利用するべきだな、と考えています。
また、地元の生産者さんと繋がってお店でも、より新潟らしい特色を生かした料理を提供することによって地元のお客様や県外からも、その新潟らしい料理を求めて来られるお客様に喜んでいただける。
新潟の食文化を広めていくということもフレマルのサービスでの可能性を感じています。
(安達)
生産者さんもシェフと繋がりたい、といったモチベーションの高い方が多いので、ワクワクしますよね。
シェフ
そうですね。
モチベーションの高い生産者さんと出会いがあって、同じ一つの作品を作れる、その部分はすごく楽しみにしています。
良い評価していただくことによってよりその想いが強くなってきている
(安達)
ミシュランの星を獲得されて、よりご自身の夢や目標に対してのモチベーションも上がったかと思いますが、自分の目標を達成し更新し続けるためにフレマルをどう役立てていきたいとお考えでしょうか。
シェフ
シンプルですが良いものを作りたいですね。
そのために良い食材が必要で、自分にとってミシュランであったりゴ・エ・ミヨであったり、そういう評価がある反面、純粋にものを作りたいっていう思いもあります。ただ、やっぱり良い評価していただくことによってよりその想いが強くなってきているんですよね。
それがやはり料理の原点だと思いますし、レストランの原点だと思います。
レストラン自体が元気になるいうところが語源の言葉ではありますので、こういった世の中ですし美味しい食事をレストランで召し上がっていただいてそして元気になって明日も頑張ろうっ思っていただけるような仕事をしたいと今すごく思ってます。
そういった想いを共有できる生産者さんと一緒にそのフレマルのサービスを通して出会いたいです。
「おいしかった」と言っていただけて、笑顔で帰っていただけることが一番の喜び
(安達)
磯部シェフが日々お店をやっている中で嬉しい瞬間というのはどういう時でしょうか?
シェフ
純粋に「おいしかった」と言っていただけて、笑顔で帰っていただけることがやはり料理人としての一番の喜びかなと思います。
(安達)
満足して帰っていただけるのはとても嬉しいですね。
ここでぜひ、お店に来られるお客様へのメッセージをお聞かせいただけますか?
シェフ
生産者さんの作る素晴らしい食材と料理人のその愛情と思いがこもった料理一つの作品をぜひレストランで味わって楽しんでいただきたいと思います。
生産者さんとレストランの料理人とお客様みんなが幸せになるサービスがフレマルなんだと思います
(安達)
続いて生産者さんへもぜひメッセージをいただけると嬉しいです!
シェフ
お客様に喜んでいただくためには、その料理人の技術だけではやはり足りてないと思うんですね。
やはりそこには愛情やこだわりを持った生産者さんが作る素晴らしい食材があって初めて完成するものだと思いますので、そういった気持ちを共有できればと思います。
(安達)
フレマルでは生産者さんとも気軽にコミュニケーションが取れるツールになっていますので、そういった気持ちの共有もしやすいですね!
シェフ
直接生産者さんとやり取りをする場合、お店の都合であったり生産者さんの都合が噛み合わない場合あります。
結果として望んでいない形の商品が手元に来てしまったり、農家さんに負担がかかるような注文してしまったり…
どちらが良い悪いではないのですが、自然とギクシャクしてきてしまってその後が続かないってこともありました。
(安達)
忙しい合間を縫ってやり取りをするというのは大変ですよね。
シェフ
そこにフレマルのサービスを活用することによって、生産者さんも無理のない形で食材を提供して頂いて、レストランの方もその時欲しい食材をスムーズに注文できるというところを可能にするサービスかな、と思います。
生産者さんも意識の高い方が生まれてきていて、レストランの人は職人なので皆さん「頑張ろう」ってやっていますが、受け取るお客様の意識が同じとは限らないので、そういった部分もそのフレマルのサービスを通じて何か良い形にできる可能性があるんではないかな、というのも感じてます。
生産者さんとレストランの料理人とお客様みんなが幸せになるサービスがフレマルなんだと思います。
結局は美味しいもの召し上がっていただく一つの方法だと思うので、それをでお客様が喜んで頂ければお店もまた潤って、生産者さんまた喜ぶっていうその一つの形なんだと思うんです。
食材や道具、そのひとつひとつへの途方もなく丁寧で綿密な愛情が伝わり、お客様を魅了し続けるRestaurant ISOさんのお料理。
リピーターも多く、食事をし終えた後にまた次の予約を入れたくなるのは、まさに「レストラン」の語源である、食べる人の心と感性を豊かにしてくれ、食材のひとつひとつから元気をもらえるお料理だからなのだと感じています。
そして、「元気になれる、人として豊かな心に回復できる料理」である秘密は、磯部シェフの想いが積み重なった結果なのだと、インタビューからうかがい知ることができました。
新潟で味わえる、新潟のフランス料理。新潟ならではのこの素晴らしい体験を、ぜひ多くの皆様にも味わっていただき、共有できたらと願っています。
Restaurant ISO(レストラン イソ)
磯部冬人シェフ
【お店情報】
〒950-0903 新潟県新潟市中央区春日町7-13
Tel :025-290-7330
HP :http://restaurant-iso.jp/
フレマルの飲食店生産者様はログインの上、プロフィールをご覧ください!
https://fremar.jp/users/shop_restaurants/5207324691